2021年11月28日開催
「愛とコンパッションと転移の心理学
〜スピリチュアルな道の実践〜」<Zoom>
主催:インスティテュート・オブ・プロフェッショナル・サイコセラピー(IPP)
●このような方へお薦め
心理カウンセラー、セラピストの方
『転移』について学びたい方
プロセスワークの日本の第一人者である富士見ユキオ先生と岸原千雅子先生が開催する専門家向けのセミナーのご紹介です。
心理臨床のスキルUpを考えている方にはお薦めのセミナーです。
参加を希望される方は、直接主催者へご連絡ください。※ご参加を希望される方は必ず詳細をご確認ください。
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主催者からのメッセージ _____
主催者からのメッセージ _____
1)ある女性クライエントの人が、セラピストの前で固まり緊張しています。
ご本人も気づいていなかったのですが、セラピストの声のトーンや眼差しが、子どものころ何をやってもダメ出しをされ、時に叩かれた母親によく似ている、という思いを抱いていたからです。
このクライエントは、「子どものころ何をやってもダメ出しをし、時に自分を叩いた母親イメージ」を、セラピストに『転移』していたのです。
ちなみに、セラピストは70歳近い男性です。
一方、クライエントが無意識に転移していたのは、彼女が子どもだった頃の20代前半の母親でした。
2)セラピストの性別や実年齢と、クライエントの母親の当時の性別や年齢は、まったく異なります。
しかし、それを重ねて見てしまう。
実際にセラピーを受けクライエント体験をするとわかりますが、転移は本人にとって単なる絵空事ではなく、大変リアルで、臨場感を伴って体験され、本当のことに思えてしまう。
かつ、それは意識の外で無意識裡に展開する。
そのため、それが幻想、妄想、投影と理解されることなく、セラピストは実際の母親のように、恐ろしく、厳しく、冷酷だと思い込まれる。
それが、「転移」のメカニズムです。
3)クライエントは、セラピストにマイナスのイメージを抱いていました。
それをどこかで、何となく察知するセラピストは、何か嫌な空気を感じたりします。
しかし、それはハッキリとした感覚ではありません。
そんなとき、もしセラピストが「転移」について知らずにセラピーを続けていたら、どのようなことが起きるでしょうか?
クライエント-セラピスト関係は、どうなっていたでしょう?
クライエントの人は、セラピーを継続していたでしょうか?
一方、セラピストの側の反応は、どうでしょう?
転移に関する理解がなければ、セラピストはそれを濡れ衣だと思い義憤を感じたり、落ち込んだり、クライエントにどう返答していいかわからず、行き詰まってしまうのではないでしょうか?
4)クライエントが、セラピストに向けた「転移」は、フロイトの精神分析実践の中核にあります。
その精神分析よりもいち早く、「転移こそセラピーのアルファ(最初)でありオメガ(最後)である、つまり転移こそセラピーの全てである」と述べたのが、ユングです。
フロイトやユングにとって、転移が対人援助の中心にあったのです。
5)ではなぜ、2人は転移をそれほど重視したのでしょうか?
セラピーを行う上で、何よりも有益だからです。
心の内側の問題が、心の内側だけで処理できないことが、ままあるためです。
心の内側が、行き詰まっていたり、悪循環に陥っていたりしているとき、往々にして心は閉じています。
外から、何も入ってきません。
6)そうした場合、転移への眼差しが必要になります。
なぜでしょうか?
転移は、クライエントの心の行き詰まりや悪循環が、外側の人間(セラピスト)に転じて移されたものです。
クライエントの内的行き詰まりや悪循環は、セラピストを巻き込んだ、「クライエント-セラピスト」関係として再演されます。
が、外側の人間であるセラピストは、クライエントの内側とは別の存在、よそ者、異者、外様であるため、クライエントのそれまでの内的反応とは、違う応答をすることができます。
それを可能にする糸口が、「転移」への眼差しです。
異者であるセラピストの関与によって、従来の行き詰まりや悪循環を断ち切る契機が生まれます。
(注:転移は、セラピー、コーチング、コンサルティングをはじめ、あらゆる対人援助にお勧めの最強の視座です)
7)ところで、フロイトとユングの転移理解には、質的違いがありました。
フロイトにとって、転移は治療のための最良のツールでした。
一方、ユングにとってそれは、治療に加え、内なる異性と結合し、個性化(=自己実現)を進めるうえで必要なスピリチュアルな過程でした。
このセミナーでは、質の異なる2種類の転移と取り組みます。
8)そのために欠かせないのが、「愛」と「コンパッション」です。
転移との取り組みには、他者理解、差異や多様性の肯定が欠かせません。
他者理解、差異や多様性の肯定は、自己中心的な自我、あるいは未熟で自己愛的な自我では難しい。
自己中心的な自我は、他者理解や差異や多様性を肯定するうえで不可欠な、他者の立場に立つことができません。
9)他者の立場に立つには、自己中心性(エゴイズム)や自己愛(ナルシシズ)を超えた「利他心」が求められます。
利他心は、愛やコンパッションから生まれます。
10)発達心理学によると、愛、コンパッション、利他心の顕現や表現には、自我の成長、成熟、変容が求められます。
成長、成熟、変容には、未熟な自我を受け入れ、見守り、成長を促す、愛やコンパッションのある他者の利他的眼差しが欠かせません。
11)人生で、利他的眼差しを十分に与えられなかった人は、セラピスト、コーチ、コンサルタントにその代役を求めます。
クライエントが、セラピスト、コーチ、コンサルタントに、肯定的イメージや代役を重ねることを、「陽性転移」といいます。
一方、「子どものころ何をやってもダメ出しをされ、時に叩かれた母親イメージ」を、セラピストに向けることは「陰性転移」にあたります。
12)ユングの転移理解は深く、魂の次元に及ぶものです。しかし、それは「陽性」のものを中心としたものでした。
それに対してフロイトの転移理解は、「陽性」と「陰性」と、両方を対象としました。
セラピー、コーチング、コンサルティングで、取り扱いが大変難しく、かつ癒し、回復、変容の糸口になるのが、「陰性転移」です。
13)「陰性転移」は、セラピスト、コーチ、コンサルタントへの批判、疑心暗鬼、不信感といった形でクライエントから向けられます。
これが取り扱えるようになると、クライエントと専門家とのウィン-ウィンの関係作りに加え、クライエントの気づきの機会、クライエントの従来の行き詰まりや悪循環を断ち切る機会とすることができます。
陰性転移を取り扱えるか、取り扱えないかが、対人援助職の専門家と非専門家とを分岐点です。
セミナーでは、その点をわかりやすく基本からお伝えします。
14)転移は、対人援助過程で、必ず生じます。
避けられません。
そしてたとえば、陽性転移が活発な場合、それは表面上のことに過ぎず、水面下では、陰性転移がおそらく生じています。
その逆も言えます。
陰性転移の背景に、陽性転移が隠れている場合がままあります。
15)また、ある時期は陽性転移が、別の時期は陰性転移が前面に現れます。
転移との取り組みには、転移の「陰陽」への複眼的眼差しが大切です。
16)ユング派のロバート・ジョンストンによると、「愛とは、相手が自分の見たいものを見せてくれるから愛(め)でる、好きになるという自己愛的なものではなく、相手の独自性、真価想定外の考え、意見をそのまま愛すること」だと言います。
転移は、セラピスト、コーチ、コンサルタントの考え、理解、予想を裏切り、超えたものからなります。
何より想定外なのは命(の自由闊達な動きや働き)ですが、愛とは、命の差異や多様性への寛容です。
それなくして、「転移」理解は困難です。
17)『転移の心理学』でユングは、転移を通じた心の錬金術的変容について語りました。
錬金術的変容は、「自我」と、自我と対立関係にある「内なる異性」との結合を通じて進みます。
その過程は、「魂の暗夜(dark night of the soul)」における、対決や試練と共に展開します。
18)ユングの男性性と女性性との対立、対決を通じた「転移の心理学」の詳細は、セミナーでお伝えします。
ここでは、それに類するエーリッヒ・フロムの考えをご紹介します。
「愛があれば対立は起こらない、というのは幻想である。それは、ほとんどの対立が、『真の対立』を避ける企てであったからだ。2人の人間のあいだに起きる真の対立、内的世界の奥底で生じる対決は、決して破滅的ではない。その対立を通じて、2人はより豊かな知性と能力を得る」
「2人の人間が、自分たちのの中心と中心とで意志を通じ合うとき、そこに愛が生まれる。愛は単なる安らぎの場所でなく、活動であり、成長であり、協働作業である。根本的事実は、2人のそれぞれが自分と一体化することによって、相手と一体化するということである」
19)愛と類似の大乗仏教的概念に、「コンパッション(compassion)」があります。
"compassion"は、ふつう「慈悲」と訳されますが、語源的には"com(一緒に、共に)"+"passion(苦痛)"で、「一緒に苦しむこと」「共通の苦痛」「共苦」です。
チベット仏教のダライ・ラマによると、キリスト教的愛は人が幸せになりますように、と思う心、一方、仏教的コンパッションは人の苦しみが無くなりますように、と思う心です。
が、"passion"は「キリストの苦難」を指す言葉でもあり、こうしたことからコンパッションは、大乗仏教的でもあり、キリスト教的でもあります。
21)転移との取り組みにおいては、このコンパッションが求められます。
クライエントの転移の中に潜む苦痛を、セラピストが我がごととして慈しみ悲しむ視座、それがコンパッションなのです。
22)「転移」の陰陽への眼差しは、セラピー、コーチング、コンサルティングにおける最強のツールの1つです。
また、それは個性化や自己実現の過程を支援します。
転移との取り組みには、他者、差異、多様性への寛容、想定外の動きや働きをする命への愛やコンパッションが求められます。
このセミナーは、転移をスピリチュアルな実践として、見直すものでもあります。
24)今回、「愛とコンパッションと転移の心理学〜スピリチュアルな道の実践〜」に、ご関心のある対人援助の専門家、専門家を目指す方、初めて聞く内容だけれど、日々の暮らしに、また家族、ビジネスに活かしたいと考えている一般の方、初心者の方、そしてあなたの、セミナーへのご参加をお待ちしています。
※当日セミナーにご参加できない方は、USBと資料の形で、セミナー内容をご購入いただけます。
※データのダウンロードにて、音声&資料をご購入いただくことも可能です。
※SNSなどを通じて、お知り合いの方に、このセミナーをご紹介いただけると幸いです。
【開催日時】2021年11月28日10:00~17:00 開場:9:50
【開催方法】zoomオンライン会議での開催になります
(参加お申し込みの方に詳細をお伝えします)
ご自宅のPCやタブレット、スマートフォンなどからの
オンラインでの受講が可能です。
※zoomオンラインでのご参加に向けて、
事前にpdfファイルにて資料をお送りしますので、
11月26日(金)までにお申し込みください)
【講 師】
富士見ユキオ
開業カウンセラーとして、32年目。
夫婦カウンセラー、ファミリーセラピスト
臨床心理士
ファミリービジネス・アドバイザー資格認定保持者
交渉アナリスト1級 日本交渉協会認定
相続アドバイザー協議会認定会員
ニュー ヨーク州立大学卒業(人類学部)
米国トランスパーソナル心理学研究所に、
日本人として初めて留学する。MA(修士)
認定プロセスワーカー
(日本にプロセスワークを紹介、導入する)
岸原千雅子
臨床心理士、
「アルケミア」こころとからだの相談室代表
ファミリービジネス・アドバイザー資格認定保持者
交渉アナリスト1級 日本交渉協会認定
相続アドバイザー協議会認定会員
英国IFA認定アロマセラピスト
お茶の水女子大学卒業(文教育学部)
認定プロセスワーク2ndトレーニング教師
日本ホリスティック医学協会理事
日本トランスパーソナル学会理事
※遠方の方や当日ご参加できない方にも、USB&資料の郵送にて、あるいはデータのダウンロードにて、セミナー内容を販売しています。
USB(音声データ)&資料購入の場合は、郵送費込で1,800円プラス、
ダウンロード(音声&資料データ)の場合は手数料(500円)のみのプラスで、
ご提供いたします。
【お申し込み・問い合わせ先】
インスティテュート・オブ・プロフェッショナル・サイコセラピー
インスティテュート・オブ・プロフェッショナル・サイコセラピー
IPP(Institute of Professional Psychotherapy)
IPP事務局(Administration Office)
Mail: info@ipp.tokyo(メールアドレスが変わっています)
Fax: 03-5570-2860
Mail: info@ipp.tokyo(メールアドレスが変わっています)
Fax: 03-5570-2860
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《今後のセミナーご案内》
12月26日(日)
2022年 1月30日(日)
2月27日(日)
3月27日(日)
《新連続講座のご案内》
☆「クリニカル・ディヴィネーション 〜運と縁と偶然を生きる心理学〜」
開催日:10月22日(金)スタート!
毎月第4金曜日 19:00〜20:50、全10回
《開催中の連続講座・ご案内》
☆「濃密なウェルビーイングとライフスタイルのデザイン」
開催日:7月8日(木)スタート
毎月第2木曜日 19:00〜20:50、全10回
※セミナー、連続講座とも、USB音声データと資料で、およびデータのダウンロードにてご購入いただけます。(詳細は、お問い合わせください)
お問い合わせ・お申込み先 :
インスティテュート・オブ・プロフェッショナル・サイコセラピー
(IPP)事務局
Mail:info@ipp.tokyo
Fax:03-5570-2860
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Posted at 15:51